白金にて

日曜の夜、ほの暗い一等地のレストランで結婚パーティーの取り仕切りをしながら祝福さるべき二人に拍手を送るうち、誰にも気づかれない速度で進行していたぼくの孤独は完成する。拳銃で撃たれてその中に落ちて下品な水しぶきを上げるのにはおあつらえ向きの、バイオレンス映画に出てくるような小さなプール。これから実際に落ちるのはマフィアの三下でも引き立て役の色男でもなく、他ならぬ新郎であるのだ。ぼくは人差し指と親指で銃身を作り、中空に向け「バン!」と架空の弾丸を射出する。音もなく沈みゆくターゲット。