この件の続き。
返事もろくに聞かないうちに顔から突っ込むような形で、下半身はソファに座ったまま、上半身は彼女のひざにうつぶせの状態で目を閉じると、本当に眠る気もなかったのに眠気に誘われてしまった。
てっきり怒られるだろうと思っていたが、彼女は何も言わず、僕をはねのけることもしなかった。
きっと呆れ返って声も出ないのだろうとも思ったが、僕は甚だしく酒に酔っていて判断力が鈍っていたし、それにひどく眠く、少し身体を動かすのも億劫で仕方なかった。だからもうこのまま眠ってしまって、目が覚めた後彼女に愛想をつかされてもかまわない、と半ばやけっぱちにあきらめて目を閉じることにした。
だが、完全に意識をなくし眠りに落ちる前に、背中に突然の重みを感じて我に返った。
どうやら、抱かれているらしい。
彼女の右手は僕の頭を抱え、左手は背中をゆっくりと撫で続けていた。首筋に何度となく唇が触れてくる。全く予想し得なかった反応に眠気もすっかり吹き飛んでしまい、心臓の鼓動だけが早くなっていく。香水と汗の混じった匂い。堰を切ったように襲ってきた女性性。半ば恐怖しながらもある種の心地よさに似たものを感じていたのもまた事実で、このままの体勢でなまぬるいいつくしみを享受し続けるのか、突然起き上がって全てを冗談で誤魔化した方が良いのか、それとも・・・と考え続けるうちに時間だけが過ぎていくのだった。
という妄想で今日一日が終わろうとしている。バカみたいだ。