東京は暑い。これでもかと言う程暑い。起きたらじっとりと汗をかいていた。変な夢を見たからかも知れない。
きっかけが何かわからないがある有名な家を継ぐことになり養子に入ることになった。しかしその家は相当格式が高いらしくその当主ともなるといろいろな物が要求されてくるらしい。一族会議(のようなもの)が開かれ会議室のような一室に呼び出され心構えなどを皆に問いただされる。
皆口々に「この××家にふさわしい…..」「それ相応の….」と口やかましく言うので俺は困惑したが1回口を開くと言葉が滔々と口をついて出るのだった。
「私にはこの家を背負っていく覚悟はできていますし、また何者にも足許を見られずしっかりとやっていく自信があるのです。もちろん皆様のご尊顔を汚さないと言い切ることができます。ご安心下さい。」
それを聞いて皆も一応納得し「ではお手並を見せていただこうか」ということになりその会合は解散となった。
しかし本当は何一つ知識もないしこれから何をすればよいのか分かっていないのである。とりあえずデパートに入って書店に行ってみる。書店の中を歩いていると一つの本が肩に触れて落ちた。その本は歴史の本でその著者はこれから養子に入ろうとする家の苗字と同じ苗字だったので、歴史の本を読もうと思い立ち探すがなかなか見つからない。
外に出る。川沿いはまだ明るく祭りをやっているらしくみこしがゆっくりと橋を渡ってこちらに近付いてくる。本来なら途方に暮れる状態なのだがなぜか今の自分は楽観的なので「何とかなるか」と思いぼんやりと景色をながめている。