- 無印の20型クロモリ。値段の割りに軽いのはいいが、前輪がまっすぐついていない気がする。もう一回バラして組み立て直すか?
- 金曜の夜、新橋のある公園では勤め人とホームレスが半々の割合でたむろして虚脱を確かめ合っていた。外では仮眠、あるいは休憩中のタクシーが何台と連なって来るべきかき入れ時に向けて静かにエネルギーを蓄えている。そんなエネルギーの渦に引かれた訳ではないだろうが、野良猫たちはやけに馴れ馴れしく路上で体を伸ばしたりじゃれ合ったりしている。わたしはコンビニで買ったおにぎりを食べていると3匹の猫がじっと立ち止まってこちらを見ている。白猫に黒虎、灰虎。1個目のたらこを食べ終える頃には、2匹の虎たちは座り続けることに飽きてしまったらしく、どこかへと走っていってしまった。しかし白だけは捕らえられたようにその場を動かない。2個目の鮭の残りが少なくなってきた頃、ふと白と目が合った。その目は食物を持つわたしへこびる訳でなく、かといって牙を剥く訳でもなく、ただ私の背後にある何ものか、目に見えるものであるのか、そうでないのかは分からないが、そんなものを見ているような空虚さが感じられた。いっそここで白に食べ物を与えてしまうことで、その空虚さをなかったことにしてしまいたい、逃げおおせたいという思いが私の中にきざした。おにぎりから鮭をひとつまみふたつまみ取り、白に投げてやる。白はしばらくこちらをうかがっていたが、そのうち鮭に食いつき、食べ始めた。するとどこからかさっきの虎二匹が駆け寄ってきて、鮭を奪おうと白に取り付いて取っ組み合いを始めた。見ていられなくなって、白にだけ「さよなら」と声をかけて、その場を立ち去った。
- 昼間から路上でおっぱいパブの話するな。
- みんなは、楽しめるうちにいろいろと楽しんでおいた方がいいと思うよ。